不思議発見 - 人体 -

人体について学んだことを書いていきます。

ABO血液型の不思議

赤血球の表面には250種類以上の表面抗原があり、ABO式血液型は、表面抗原のA/B型抗原の種類によって分類されるといいます。

A型の赤血球にはN-アセチルガラクトサミンを含む「A抗原」があります。
B型の赤血球にはN-アセチルグルコサミン(ガラクトース)を含むB抗原があります。
AB型の赤血球にはA抗原、B抗原の両方があります。
O型の赤血球には両抗原がありません。

ABO式血液型を決定する抗原を作る遺伝子は第9染色体に存在します。
通常のA型とB型の遺伝子では両方355個分(厳密には最後が終止コドンなので354個分)のアミノ酸のデータでそれぞれA抗原とB抗原の転移酵素を作ります。
N-アセチルガラクトサミン転移酵素と、ガラクトース転移酵素です。

H抗原に対してこれらの転移酵素が追加の糖をつけます。
A型とB型では中~後半部に7か所(99・176・219・235・266・268・310番目)で作られるアミノ酸が違うものがあり、この違いで
A酵素はN-アセチルガラクトサミンを
B酵素ガラクトース
それぞれH抗原につけます。これがA抗原とB抗原の違いになっています。

O型の遺伝子の場合は、AやBの遺伝子の後半部分が機能しておらず途中で終止コドンになって、通常のO型では87番目のアミノ酸用の塩基配列が1つ抜けているので以後がずれ、118個分(厳密には最後は終止コドン
なので117個分)のアミノ酸のデータで酵素を作るため、H抗原のままで追加の糖が付けられなくなっています。

興味深い事実があります。
赤血球上のA、B、H抗原は、胎生5~6週目に認められるが、誕生時にも抗原の発達は充分でなく成人の約3分の1程度とのこと。2~4歳になって成人なみとなり、抗原の強さはその終生ほぼ一定であるとのことです。
そのため、赤ちゃんの血液型の判定精度が悪く、4歳以上になってから血液型検査をした方がよいようです。
それから、抗原の強さの確定と成長にはなにかしら関係があるかもしれません。


※転移酵素とは、ある化合物の原子団を他の化合物へ転移する反応を触媒する酵素の総称です。アミノ基,アシル基,グリコシル基,メチル基などを転移します。


https://www.med.kindai.ac.jp/transfusion/ketuekigaku7.pdf
http://www.hosp.u-toyama.ac.jp/blood/newhomepage/study/study19/study19.html
https://www.asagiri-hp.or.jp/sinryouka/sanhuzinka/tokushoku/sanka/bloodtype.html

それから、血液型性格分類はいずれも正しいとは認められていないそうです。
(日本とその影響を受けた韓国、台湾の一部の国でしか血液型を性格の関係づける国はありません)
関係あるとの研究結果もあります。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000076346.html