ツボと内臓と神経
誰に教えてもらったのか忘れましたが、頭痛のとき足の親指付近をもう片方の足のかかとで軽く踏んでみるとよいと聞いたことがあります。そして、そのようにして頭痛が治ってしまった経験が幾度となくあります。
※強く踏むと骨折の恐れがあります。骨の大きさ、強度に個人差があるため注意が必要です。
これは足にある「ツボ」を刺激することで脳内の血菅の異常が収まり頭痛が治ったのだと思われます。
さて、その「ツボ」ですが、実体はないと言われています。
実体がないけど、あるとはおかしな話です。
中国の長い歴史と経験に裏付けらた「ツボ」。
WHO(世界保健機構)もその存在を認め、認められたものは、全身に361個もあるそうです。
実体不明でもあると聞いたら気になります。その不思議を調べてみました。
この記事によると、人の体には「気」の経路があって、「気」が経路を通って内臓、皮膚に働きかけると言います。
その経路にある「経穴(けいけつ)」(参考文献[1])が気の出入り口。それが「ツボ」なんです。
「ツボ」を刺激することによって、経路を流れる「気」を調節できて、その「気」の流れがスムーズにいくと、内臓、皮膚が活性化されて調子がよくなるというのです。
なんとなく分かりますが、「気」とは何でしょうか。流れるもので、穴から出入りするものです。
西洋医学では、内臓神経(交感神経、副交感神経)が脊髄から内臓の血菅を覆うように存在して、内臓を制御しているといいます。
文献[6]によると、内臓につながる神経(末梢神経)は、次の2つに分類されるといいます。
〇内臓感覚系:内臓の痛みを検知して脳に知らせる感覚繊維(交感神経に沿って存在する)、その痛みは感覚受容器への刺激が電気信号に替わり、その繊維を伝達する。
〇内臓運動系:内臓を制御する神経で脳の視床下部とつながっている。
内臓運動系は、自律神経のことでですね。その神経の中枢は間脳の視床下部にあります。
意識しなくとも心拍、消化、吸収、エネルギー貯蔵などを制御しています。生まれてこの方、間脳が神経系を使って生命維持のために自動で実行してくれています。
ただし、視床下部と神経回路の役割については、まだわかっていないことが多いそうです。
調べたことをまとめますと、
「ツボ」は神経に電気信号を送るための感覚受容器であり、その電気信号が交感神経または副交感神経を伝わり(ニューロン間では神経伝達物質が働き)内臓の働きを制御する。内臓を働かせたり(これは交換神経の役目)、休ませたり(これは副交感神経の役目)します。この感覚受容器(ツボ)を刺激することで痛み(異常な状態)が取れるということが、なんとなくわかりました。
交感神経、副交感神経それぞれに働きかけるツボがあると言いますので、その違いを勉強してみるのも面白そうです[5]。
さらに、「気」イコール電気信号、神経伝達物質かも調べてみたくなりました。
指圧、針、灸で、これらがどのように変わるのかです。
わからないことも多いのですが、ツボが内臓と関わっている、ツボは神経と関係しているのは正しいようです。
参考文献
[2]西洋医学的な見方による「ツボ」の効果
https://medicalpage.net/report/archives/1971
[3]ストレスと自律神経の科学
[4]NHK高校講座 生物基礎 自律神経による調節
NHK高校講座 | 生物基礎 | 第21回 自律神経による調節
[5]はり師、きゅう師、あんま・指圧・マッサージ師のための
痛み学習テキスト
https://www.ahaki.or.jp/research/data/itami_text.pdf
[6]末梢神経(含む内臓神経系)の概観
http://neuro.dept.med.gunma-u.ac.jp/wp-content/uploads/2014/09/ef03d36c06b6a06483f5273715c87ae2.pdf
[6]の用語
Central Nervous system (CNS) 中枢神経系 :脳と脊髄
Peripheral Nervous System (PNS) 末梢神経系 : ひも状に細くのびて体内を走るもの。
主に 神経線維束 や、局所的に神経細胞体が集まって存在する神経節